今回は、先月紹介した新聞連載とは別に、過去印刷新報に取材された記事を紹介したいと思います。
前回同様、当時の新聞記事をスキャニングし、OCRソフトを使って文字に起こしています。誤字脱字の無いようにご紹介していきたいと思います。
先取りと多様化で発展 設備利用に創意工夫
「ワン・ステップ・アヘッド」を創業以来の社是としてユニークな経営でも知られている東洋ビジネス印刷株式会社 (山口忠造社長、本社=東京都墨田区立川三-四-八)は、今や年商二十一億円に達している。昭和二十五年に英国ウィギンズ社からノーカーボン紙を輸入し即刷販売して以来、年々業容も拡大し、今日では主力のフォーム印刷の他に美術印刷、コンピュータのソフトウエアサービスまで行いつつある。今日では本社工場の他に埼玉県戸田市にトーヨーフォーム㈱の別会社による工場、江東区東雲には鉄筋モルタル二階建、八九〇平方㍍の配送センター、千代田区九段下の九段セントラルビルに営業および企画デザイン部門を移し営業本部との陣容になっている。
社是のとおり、時流を先取りするパイオニア精神は旺盛だ。たとえばOCR・OMR用帳票、カードの多色オフフォーム輪転機での印刷は昭和四十八年から開始している。その二年前の昭和四十六年からソフトウエアサービスを開放している。
最近では創立二十周年を記念して昭和五十五年に四枚マルチ六色オフフォーム輪転機を導入して、フォームのカラー化、多色化に対応するとともに、マルチ貼合せ機も導入して自動預金機等によるフォーム需要も手がけている。
TBKの社訓
同社の山口桂治郎専務は経営に対する近代的センスをもち、またアイデアマンである。たとえば、「生産性向上のためには機械稼働率の追求のみでは不十分。ミス・ロスがあっては何にもならない」との考え方からQC活動を早くから開始しており、昭和四十三年にはオフコンを導入して在庫および売掛管理業務も始めている。
また社員の厚生福利向上にも早くから取り組み、隔週五日制の導入や財形貯蓄や社員持株制の採用など先進的な施策を講じてきた。また報償性に加えて年俸契約などアイデアあふれる措置もある。
同社の社訓は、「TOYO BUSINESS KAISYA」のイニシャルを取って、T=Technology(技術)、B=Brand(品質)、K=kindness(親切)となっている。つまり技術、品貨、サービスで顧客に奉仕する、ということである。
顧客サービスにおいては、九段セントラルビルの五階全フロアを購入して営業本部を設置したのもこのあらわれである。都心にてより一層のサービス充実を期している。また東雲の配送センターも営業活動の一環として位置付けている。商品納入まで責任をもつという同社の姿勢のあらわれである。
ナンバー需要に対処
同社は写植から製版、印刷、製本に至るまでの設備を擁し、一貫加工体制を敷いている。そのなかで昨年十二月に内田洋行製の電子制御ナンバリング装置を導入した。かねてから多様化するナンバー需要に対応するため、この種の装置を探していたが、このナンバリング装置が要求を満たすと判断し、導入の運びになったもの。
同社が導入している内田洋行のウチダ電子制御ナンバリングCNS-10は、ナンバー印刷需要が単なる連続ナンバーから複雑なチェック方式が要求されていることに対応し、ナンバリング印字部を全て電子的にコントロールするもの。普通ナンバーの他にチェックデジットとして①セブン、②ナイン、③テン、④イレブンの四種のセットも可能。
同社では同装置を昨年十二月に導入し、南精機の綴じ機械にセットしている。同装置の下にボックスをつけて安定させるとともに、車をつけてできるようにしている。
同社の高橋元一管財部長によれば「導入してから三ヵ月しか経過してないが、今までのところ菜惜しい効果をあげている。ナンバーが重複することばないし、欠番もなく安心して使える。わたしどもの場合テンチェックを主に使っているが、従来機の四~五倍の能力をもっている」とのべている。
また同装置を特殊な綴じ機とドッキングさせていることについて「今後ナンバリング装置の使い方もこういう方向になると確信している。業界で今後活用される場合でもわたしどもの方向で活用することをお奨めしたい」とも語っていた。
同社の設備内容を見ると、このチェックデジット・ナンバリングのように、種優々のオプションが付いており、付加価値の高い効果的活用を期している。
今後の設備投資に対する姿勢としては、印刷部門が一段落していることから「仕上げ加工と製版部門をより一層充実させたい」(山口専務)ということである。
同社の施設、設備概要は次のとおり。
∇施設
土地三九三〇㎡、営業本部・鉄筋コンクリート九階建の五階全フロア一五二㎡、本社工場・鉄筋コンクリート四階建一五三〇㎡(ダイキンエアコンによる完全空調)、戸田工場(トーヨーフォーム株式会社)・鉄筋コンクリート三階建七一〇㎡、東雲配送センター・鉄筋モルタル二階建八九〇㎡、倉庫・二棟鉄筋モルタル二階建三五〇㎡(墨田区立川)
▽生産設備
◎輪転フォーム印刷機
・OCR・カラー多色兼用四枚マルチ六色オフ(赤外線装置付)一ライン
・OCR用オフセット四色用および二色用(赤外線装置付)三ライン
・ホワイトカーボン装置付三色用二ライン
・連続封筒装置付四色用一ライン
・オーバープリント装置付二色用四ライン
◎平圧フォーム印刷機
・タックラベル打抜装置付二色用二ライン
◎同上用組付レイアウト装渡
・六基
◎自動製本丁合機
・軸転のり付ナンバリング来歴付(六P用)三ライン
・穴あけおよびナンバリング愚直付(九P用)三ライン
◎自在穴あけ装置付(五P用)二ライン
・ワイヤーギャザー両用(九P用)二ライン
・チェックデジット用マルチナンバリング(CRT・マイコン付)二ライン
・自在穿孔機三基
・バスターおよびベーベ精密カッター各一ライン
◎オフセット自動印刷機・凸版自動印刷機
・菊半裁(二色)ダイキュアー装置付三基
・四六四裁二基
◎製版用・検査用機器
・コバステップ精密自動殖版機一台
・モリサワ万能写植機二台
・A半裁カメラおよび現像装置一セット
・A半裁自動焼付製版装置一セット
・リコーPPC校正機一セット
・OCRカラー検査装置(マクベスPCM-Ⅱ・島田理化RM-一B)二台
・大日本スクリーン自動現像機一台
(上記設備は印刷新報に紹介された昭和57年当時のものです)
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